Dual Active Bridge(DAB)コンバータは双方向電力伝送が可能な絶縁型DC-DCコンバータで,蓄電池を用いる次世代電力システムを担う高効率電力変換器として注目を集めている。DABコンバータは各アクティブブリッジの出力電圧の位相差,すなわちブリッジ間位相差を利用して伝送電力の調整が行われる。このブリッジ間位相差を変化させる際に,変圧器に直列に接続されたリアクトルに直流バイアスを含んだ電圧が印加されることがある。この直流バイアスはリアクトルや変圧器の偏磁を招くため,位相シフト変化時の直流バイアスの抑制が必要とされている。現在様々な直流バイアス抑制手法が提案されているが,その多くはFig.2に示すように,ある過渡応答区間でリアクトルと変圧器に印加される電圧の平均値を0にするよう電圧位相を最適化するという手法である。しかし,こうした手法では,過渡応答区間の周期が定常状態の周期と異なることや,制御操作量である位相シフト量の変化毎に過渡応答区間が必要となることから,制御の応答性に課題がある。